fleurs et papillons

渋谷西武にて開催中

渋谷西武にて3月19日まで大竹寛子個展「fleurs et papillons」が開催されている。渋谷西武の春のキャンペーンに絡めて企画された展覧会はウィンドーディスプレーや西武B館1階と8階での展示も含めてかなり大々的で作家にとっては嬉しい企画展となった。大竹さんは面識もあり今度青山のアートサロンセーヌでも個展を開催していただく予定なので新作がどういう感じかも見るために渋谷西武に見に行って見た。

 

画法は日本画

大竹さんは東京藝術大学絵画科日本画専攻を卒業後に大学院に進み最終的には美術研究博士号まで取得したという素晴らしい学歴の女流作家さんである。つい最近までは文化庁の新進芸術家海外派遣制度によって1年間ニューヨークにも滞在していたという。画法は日本画の伝統を継承しつつ表現はモダンな絵画のような斬新さで華やかな色合いの花や蝶をモチーフにしている。卓越した技術と表現力の作品は見応えもあり今後もさらに楽しみな作家さんである。渋谷界隈に行かれる方は渋谷西武に寄って是非見ていただきたい。

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金箔や銀箔も用いて鮮やかな色の蝶が飛び交う様子を表現。

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日本画の技法で描くがモダンで大胆な絵画作品も多い。

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この作品などはもう抽象画の世界だが色合いなどは日本画

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かなりのサイズの大作にも果敢にチャレンジしていた。

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丸い鏡に描かれた作品は天井から吊るして展示されていた。

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日本画に見られるような縦長のキャンバスに描かれた作品。

どこへでもこの世の外なら

抽象表現の世界

六本木のタカ・イシイギャラリーにて3月17日までクサナギシンペイの絵画展「どこへでもこの世の外なら」が開催されている。抽象画の作品だが作者はカンヴァスにスティン(にじみ)の技法で色を重ねることによって豊かで透明感のある色彩の絵画を制作する。抽象表現の世界は対象を抽象化して作品とする表現方法だがこれは非常に難しく作るものにとっては作品を抽象的な方法で描ききるタイミングをどこで終わらせるかという永遠の問題がある。

 

画面から得る印象

かつてアメリカの作家、ジャクソン・ポロックはカンヴァスを床に置いてそこに絵の具を垂らすという方法で抽象絵画を制作してセンセーションを巻き起こした。沢山の絵の具がカンヴァスに垂れている様は当時それを見る多くにとってはわけの分からない世界に映ったかもしれない。抽象画の見方は「画面から得る印象」に尽きるのだが、表現者にとってはただのめちゃくちゃなどではなく様々な表現の必然性や美的要因を感じながら描き進める表現方法となる。そこがしっかりしていないと絵は成立しないしめちゃくちゃはそのまま破綻するのである。そのコントロールが非常に難しく、また抽象的なだけにその表現の真偽もすぐにバレてしまうものだ。クサナギシンペイの抽象表現はそういう意味で美しく本物だと思うしこれからも非常に期待できる作家だと感じた。

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スティン(にじみ)の繰り返しの中に絵の本質が現れる。

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最近ではにじみの中に即興的なブラシストロークも加わった。

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様々な色が重なり合い画面構成や色相などの広がりを感じる。

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青と濃紺のコントラストの表現が美しい作品だ。

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抽象画では見たままの印象を味わい感じるものを楽しむ。

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本物の表現か否かが誤魔化せないのが抽象画の特徴である。

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様々な色や形の重なりは必然性と美意識の結果として現れる。

Lyさんの風景

白と黒とグレーの世界

表参道の交差点にある交番のちょうど後ろに新しく改装された白いビルができたがここは「OMOTESANDO B SPACE」というビルごと場所貸しをするスペースなのだそうだ。早速見に行ってみたら1階はバレンタインシーズンだからか「HI-CACAO CHOCOLATE STAND」というチョコのポップアップショップで2階ではストリートアーティストのLyさんの作品展をしていた。Lyさんの作品は以前にも見て立体作品で気に入ったのを1点購入している。白と黒とグレーで描かれる風景はストリートアートやグラフィティーアートなどに影響を受けて作り出された独自の世界だ。

 

オモハラエリア

この貸しスペース、今後どういった企画があるのか、またはどういうブランドや企業が貸し切ってイベントなどやるのかは分からないが立地としては相当いいのできっと借りるのも高いんだろうなと思う。今回Lyさんが展覧会をやっている2階のスペースはイスなどがあって休憩もできる感じだったが「OMOHARAREAL pop-up gallery」となっているので今後もアートの展示などをするのだろうか。それにしても表参道と原宿の界隈を総称して「オモハラエリア」と呼ぶとは今回初めて知りました。

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白と黒とグレーが基調のLyさんの作品はストリート系。

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Lyさんの作品によく登場する真っ黒なモンスターキャラ。

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スケーターやグラフィティーカルチャーの影響が大きい。

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人気はなく、ただ黒いモンスターキャラが暮らす架空の街。

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丸い画面に四角い街並みが広がる。モンスターはスケーターでもある。

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ここには黒いスケーターモンスターが3人も登場している。

 

奈良美智さんの30年

精神性を共有

今世紀に入ってから活躍する日本人アーティストの村上隆さんと奈良美智さん、今や二人はアーティストとしてアジアはもちろん世界中で不動の人気を得ている。その村上隆さん自身が運営するカイカイキキギャラリーで奈良美智さんをレプレゼントすることになったという。ともに躍進してきた同士として表現は異なるにせよ作家としての精神性を共有していると感じる二人の作家がこういう形で繋がるというのはアート界にとってニュースである。カイカイキキギャラリーでは3月8日まで最初のギャラリー企画展として奈良美智さんの過去30年に渡るドローイング展を開催している。今後は年内にもう1回奈良美智さんの企画展を開催するほか香港アートバーゼルでも特設ブースで奈良美智さんの作品を展示するという。

 

ドローイングとは

アートに関心がある人はもちろんだが関心がそんなにない人も奈良美智さんの作品を好きという人は多いと思う。その証拠にカイカイキキギャラリーは平日の昼間にもかかわらず大勢の人で異常に賑わっていた。奈良さんにとってドローイングとは一体どういう行為なのかという原点を振り返る展示は圧巻でギャラリー内には年代ごとにグループ分けされた様々なドローイングが壁面やテーブルの上に展示されている。奈良美智さんの表現の源であるドローイングを年代を追って見ることはその作品の魅力の謎を紐解く鍵であるような気がする。子供の頃から鉛筆1本で描くことが好きで鉛筆1本でなんでも描けていた気がすると語る奈良美智さんだが自分の中から湧き上がる思いや感情をストレートに描き出すという行為で作品を作ってきたその稀有な才能を存分に感じることができた。村上隆さんと奈良美智さんの今後の新たな展開もますます楽しみだがまずは強力にオススメの展覧会です。

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ダンボールに描かれた少女。作品には繰り返し少女が現れる。

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鉛筆だけで描かれたドローイング作品は強いインパクトがある。

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これも鉛筆だけで描かれた作品。ストレートな表現が魅力的だ。

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コミカルな表情が愛らしい少女たちが沢山描かれてきた。

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作品はダンボールや封筒など様々な素材に描かれる。

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平日にもかかわらず沢山の人が展覧会を見にきていた。

 

 

天才?会田誠展

「天才でごめんなさい

2018年2月10日から24日までの2週間、北青山にある青山クリスタルビルのB1とB2を会場に会田誠展「GROUND NO PLAN 」が開催中だ。会田誠といえば2012年に森美術館で「天才でごめんなさい」という回顧展を開催した奇才アーティストである。好き嫌いは別にして日本の現代アートの一端を担ってきたこの作家は予測不能な発想と表現でいつも驚きを提供してくれる人である。今回の展覧会はアートの発展に力をいれる公益財団法人大林財団の助成プログラム「都市のビジョンーObayashi Foundation Research Program」によって開催されることとなった。今後も2年に1度の頻度で5人の推薦選考委員の推薦によって選ばれたアーティストが都市をテーマに作品制作と発表をするという企画なのだそうだ。

 

第一回は会田誠

記念すべきその企画展の第一回のアーティストに選出されたのが会田誠なのだが会田誠と都市とはなかなか結びつかないような感じだがそこにこそ狙いがあったようで展覧会は相変わらずのハチャメチャな表現で面白い展覧会になっている。地下1階と2階のフロアーは吹き抜け部分もあるが壁から吹き抜け部分まで会田誠ワールドが炸裂していてこの異質な才能のアーティストは相変わらずパワー全開である。ゲストにChim↑Pom山口晃も招き「やりたい放題」な展示インスタレーションを展開している。壁に貼られたビニールシートや紙切れに殴り書きされた会田誠の論理展開など読んでも面白いのでゆっくりと読み進むのもオススメだ。黒板に書かれた詳細な説明とリアルなジオラマ模型で提案された新宿御苑大改造計画が特に圧巻だった。2週間の期間限定なので興味のある方は是非見に行って欲しい。

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風の塔」改良案、口がちくわの「ちくわ女」完成予想図。

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風の塔」改良案。頭がおにぎりの「考えない人」ジオラマ

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会場でライブペインティングの作品制作をする作家の山口晃

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ゲロがテーマ?どういう発想なんだろうという作品が多い。

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入り口付近にどーんと置かれた「NEO出島」ジオラマ

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新宿に手つかずの自然の渓谷を作るという新宿御苑大改造計画のジオラマ

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新宿御苑大改造計画の詳細な内容説明が描きこまれた黒板。

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地下にも様々なスローガンを打ち立てる看板作品が並ぶ。

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Chim↑Pomの展示した雑誌などの屋台のインスタレーション

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吹き抜け部分も垂れ幕の作品が所狭しと展示されている。

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発展途上国から始めよう」という不思議な作品。

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地下1階から吹き抜けの地下2階に向かって挨拶をする会田誠

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様々な素材に殴り書きされたステートメントやアイデアは面白い。

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展覧会に選考された会田誠の展覧会に対するステートメント

 

「ポートレイツ」展

絵画の主要テーマ

MAHO KUBOTA GALLERYにてグループ展「ポートレイツ」が2月28日まで開催されている。昔のヨーロッパ貴族が描かせたいわゆる肖像画や日本なら浮世絵の美人画、近年ならスマホの自撮りも「ポートレイツ」といえばそうなるのだろう。歴史的にも絵画の主要テーマの一つだし現代になっても多くのアーティストが様々な表現でアプローチするのが「ポートレイツ」なのだ。

 

武田鉄平に驚く

「ポートレイツ」への出展作家はミニマムな線や形で人を表現するジュリアン・オピー、ガーリーフォトグラファーの先駆者的な写真家の長島有里枝、女性の体のパーツを絵に描く小笠原美環、女性達の顔をアイコニックに描くグラフィックアーティストのKYNE、絵画の持つボリュームや質感を精密な模写で再表現する武田鉄平、都会のフリータの若者を油で描く富田直樹、現代の若者の触感を持つ彫刻や絵で表現する安井鷹之助の7人だが、今回最も驚いたのは武田鉄平の絵画作品であった。荒い筆のタッチで分厚い絵の具で描きなぐったような絵は実はその真逆で精密に模写された精密画だったのだ。様々な形で表現される「ポートレイツ」を是非見に行っていただきたい。

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ストリートカルチャーやアニメの影響も見られるKYNEの作品。

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若者達やフリーターなどの顔を油絵で描く富田直樹。

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ミニマルな線で生き生きとした人を描くジュリアン・オピー。

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ガーリーフォトグラファーの先駆者、長島有里枝のポートレイト。

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不思議な質感の絵のような彫刻のような安井鷹之助の作品。

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普段は体のパーツが多い小笠原美環の珍しい顔の作品。

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今回度肝を抜かれた武田鉄平の絵画作品。実は精密に描いている。

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オープニングレセプションにはたくさんの人が訪れました。

MAHO KUBOTA GALLERY

日本人作家のグループ展

再びオープン

清澄白河のギャラリー倉庫に以前あったギャラリー、Sprout Curationが江戸川橋のMaki Fine Artsの上の階に再びオープンしたので行ってみた。Maki Fine Artsが前の場所から移転を余儀なくされて引っ越した先の上の階の部屋が空いていたのでSprout Curationさんに声をかけてオープンする運びとなったのだというがこのユニークなギャラリーが再び登場したことは喜ばしいことである。伺った時はちょうど2月18日まで開催している日本人作家のグループ展の最中だった。

 

5人の日本人作家

JPNと銘打ったこのグループ展は5人の日本人作家で構成されるが2014年にドイツでの展覧会「Japanese Painting Now」の過程で生まれたのだという。その同じ年にはまだ清澄白河にあったSprout Curationにてオリジナルメンバー5人にもう一人足した6人でのグループ展「JPN/Joy Place, or Not」と題した続編も開催された。作品はペインティングだがそれぞれが独自な表現を見せていて今後もとても楽しみな作家が揃っていると感じた。また、日本人の作家を積極的にキューレーションして見せて行くというSprout Curationのギャラリーとしてのあり方も素晴らしいと思った。

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淡い独特のタッチが印象的で面白い絵画作品だ。

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少ないブラシのストロークで一気に描き上げるという作品。

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わざと乾きにくい絵の具を作り時間をかけて作品化するという。

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ダイナミックな色と形がインパクトのある作品。

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ペインティングの領域で制作された粘土を使った作品。

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汚れた写真のような記憶の中の風景のような不思議な作品だ。