OFURO

日本とフランスのお風呂

中目黒にあるSpace-DにてTakeru AmanoとMaxence Gilliardのグループ展「OFURO」が7月25日まで開催中だ。Takeru Amano君は昔中目黒にあったカフェギャラリーSPACE  FORCEで展覧会を開かせていただいたこともある。今回はフランス人のMaxence Gilliardと共にお風呂をテーマにしたちょっと不思議な展覧会を開催している。

 

お風呂を通じた文化の違い

フランス人が感じた日本のお風呂、そして日本人が感じたフランスのお風呂、それぞれの国のお風呂を通じて愛すべき文化の違いをユーモラスに表現するのがこの「OFURO」展の面白さで、会場には大小様々な作品やTシャツやクッションなどのグッズも販売していた。展覧会の開催期間がもうすぐ終わってしまうので見たい方はお急ぎください!

 
Space-D 東京都目黒区青葉台1-15-2 AK-3ビル 1F

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Amano君の描く女性はシンプルな線と色で表現される。

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可愛いTシャツも販売していたので興味がある方は是非チェック!

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ちょっと浅めのフランスのバスタブに浸かる日本女性?

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日本のお風呂にどっぷりと浸かるフランス人男性。

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可愛いヌードがタイルの上に描かれていた。

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Amano君はアートクッションも企画販売しているそうで会場にもあった。

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ギャラリーの一角がお風呂場?みたいになっていて面白い。

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ギャラリーの壁面にはタオルにシャワーキャップも。

「Issues from the Hands」

 

唯一無二の存在感

渋谷ヒカリエにある小山登美夫ギャラリーにて8月7日まで野田敏明展「Issues from the Hands」が開催されている。野田敏明氏は日本で陶芸を学んだ後2008年に渡米、カリフォルニアでファインアート科を卒業してからはアメリカを拠点にセラミックアートの制作活動を続けているという。陶芸作品において何らかの既成概念というものがあるとしてたとえそれが何であれ野田敏明氏の陶芸は「型破りだ」と断言できるほどに唯一無二の存在感であり個性的だと思う。

 

変形と破壊

野田敏明氏の陶芸作品は初めは左右対称の整ったフォームで作られるのだそうだがそこから変形と破壊が施される。塗ったり潰したり、引き裂いたりなど様々な行程を経て新たな形へと生まれ変わるのだ。どの作品もそれぞれが独自の形と風合いと存在感で見るものに迫ってくるようだ。それは人の手によって作られたというよりも自然の中で生まれた地層や自然の作り出す風景、または捨てられ風化した人工物などをも想起させる。一つ一つが非常に重い「物」としての存在感を醸し出しながら存在しているのだった。

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歪められ変形された陶芸作品は重い存在感で迫り来る。

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鍾乳洞の中の何かみたいな趣が感じられどこか可愛らしくもある。

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人工的に作られた何かが風化して変化した姿のようである。

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ギャラリー内に沢山の陶芸作品が整然と並ぶがどれも個性的だ。

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白い肌にかすかな薄緑が見える、なんとなく愛嬌のある姿形である。

Big Sky Little Moon

 

グラフィティーアート

ワタリウム美術館でバリー・マッギー+クレア・ロハス展「Big Sky Little Moon」が10月15日まで開催中だ。80年代後半に登場したグラグラフィティーアートの作家バリー・マッギーはストリートはもちろんギャラリーでの展示も行った。幾何学的でカラフルな独特のパターンとユニークな人物像などを組み合わせた彼の作品はアート界に衝撃を与えた。サンフランシスコ近代美術館で巨大な壁画を制作したりミネアポリス・ウォーカー・アート・センターで初の個展をするなど活躍は続き遂には2001年のベネチア・ビエンナーレに史上最大のインスタレーションを出品、アーティストとして不動の地位を獲得した。

 

クレア・ロハス

今回はバリー・マッギーの妻であり自身もまた優れたアーティストのクレア・ロハスとの二人展という趣向になっている。作品は3フロアーあるギャラリー内にそれぞれユニークな仕掛けのように展示されている。絵やオブジェ、焼き物、資料関係など様々な展示物の展示方法や作品同士の距離と高さの計算された関係性も非常に興味深い。ストリートという場で独自のアートを出発させ、今ではアート界でも人気を誇るバリー・マッギーだが、ルーツであるストリートの自由な感性は今も健在である。

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幾何学的なパターンとユニークな人物像の組み合わせの妙。

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作品の展示方法もとても面白く壁に直接描いている部分もあった。

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クレア・ロハスのグラフィカルなパターンのお皿が展示されていた。

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意味は不明だがぐさっと刺さるような強烈なイメージである。

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なんとなく東洋の禅の書とかを連想させる精神的な作品。

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この作品でもお得意の幾何学パターンと顔が印象的だ。

 

 

無意識の姿

 

ファッションとの出会い

神宮前にあるSEZON ART GALLERYにて朝倉優佳の個展「Figure of Unconsciousness」が7月30日まで開催されている。2014年にアートアワードトウキョウ丸の内・シュウウエムラ賞を受賞して以来、ファッションデザイナー「ヨウジヤマモト」のコレクションにアートを提供して参加、今年の初めには東京オペラシティーにて山本耀司と一緒に展覧会も開催した。抽象画というアートとファッションとの出会いは作家にとって大きなインスピレーションになったという。

 

肉体という存在

僕は特に抽象画が好きで気になっていた作家なので今回作品が見れてとても良かった。

今回は人物画だというが絵を見ると全てが抽象化されて人の体という原型はとどめていない。しかし、出発点のイメージは人体であったわけで、そこから絵を描き進めながら「肉体という存在」への抽象的かつ概念的な試行錯誤が始まるのだろう。絵も結構売れていていいことだと思ったし僕も小品ながら1点の絵を買わせていただいた。

抽象画は見るものを目で見えるものから見えないものへと誘う魔術のような力を持っていると思う。今後もコレクターの端くれとして朝倉優佳の活動に注目していきたい。

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女性の肉体だというが抽象化されてすでに原型はほぼない。

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色と線と形の戦いのような激しい筆致の抽象画だ。

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小さい作品だがまだ幸運にも売れていなかったので購入した。

天才アラーキー

死にゆく美しさ

南青山にあるRAT HOLE GALLERYにて8月31日まで荒木経惟の写真展「花幽園」が開催中だ。荒木経惟通称「アラーキー」といえば言わずと知れた天才フォトグラファーだが新宿のオペラシティーでも大規模な展覧会が開催中なのでこの夏は「アラーキーを見る夏」ということでお勧めします。電通マンを辞めフリーランスの写真家になったアラーキー東松照明森山大道などらと「WORKSHOP写真学校」の設立に参加、その後は写真家として数々の賞を受賞してきた。

 

エロスと死

アラーキーの写真といえば縛り上げられた女性や早くして亡くなった妻の写真のイメージなどが浮かんでくる。肉体のエロス、死を捉えるために映し出す儚い命の姿が生涯かけて撮り続けているテーマなのだと思う。あからさまに全てをさらけ出しそれをカメラに収めることで人間とは何か、生と死とは何かといった普遍的なテーマを追い続けているのではないだろうか。今回は息を呑むような色や質感の花々にエロスを象徴する人形のかけらやビニール製の怪獣などを組み合わせ何か匂い立つような強烈な写真を撮っている。この夏はアラーキーを見に出かけよう。

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鮮烈な色合いの花束の中に縛られた女性の人形や怪獣が。

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こちらの生け花は毒々しいが中にいる人形もちょっと怖い。

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会場のラットホールギャラリーでのレセプション風景。

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小さい方のプリントはバラで1枚15万だという。お買い得だ。

 

理想郷

 

若きペインター

812日まで白金にある児玉画廊にて大久保薫の個展「理想郷」が開催されている。聞けばまだ20代という若手作家だが僕がアートの中でも特に好きなペインティングを表現手法とする若きペインターである。彫刻や立体は自分で作ったことがないので分からないが絵は自分も描くので絵を見る時は特にそのテクニックなどを非常に興味深く見させてもらえるのである。

 

色のセンス

テクニックの前に彼の絵の主題だが男性の体をテーマとして様々な絵を描いている。

立ち小便する男性、裸の男性、酒のラベルの男性、ブルドーザーを操縦する男性などなど、様々なシチュエーションで男性が描かれる。それらを描くテクニックだが、油絵の具とアクリルを一緒に使ったっりして実に面白い質感の作品を作り出す。画面上を垂れ流れるほどの薄い絵の具で描いた上に部分的にかなり厚塗りで量と質感を感じるマチエールの力強い部分もあったりする。そしてそれら全てを統合するのが彼独自の色のセンスだ。以前から色のセンスは教えられるものではないと思うと言ってきたが彼にしてもそれは持って生まれた才能だと思う。色が冴えていなければまとまりのない絵になるであろうが実にうまく色の力で画面を引き締めている。若きペーンターの今後が楽しみだ。

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上半身裸の二人の男性の絵はかなり薄塗りの作品。

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どこかペルシャみたいな国の宮殿の中の風景を想わせる。

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珍しく男性像ではなく動物の絵だが、ラクダなのだそうだ。

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お酒のラベルの男性のイラストを絵にした作品。色が素晴らしい。

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ブルドーザーを操る男性の絵だが堂々とした姿に見える。

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草むらにて男性のヌードの絵である。厚塗りと薄塗りの共存。

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なぜか下半身裸の男性が自転車を持って立っている不思議な光景。

 

Back On The Highway

新しい文化

恵比寿にあるギャラリーALにて小林昭氏の写真展が7月23日まで開催されている。

1969年にロサンゼルスのヴェニスに拠点を構えた写真家の小林昭氏はアメリカで起こりつつあるうねりをカメラに収めた。大陸を横断しながらアメリカにカメラを向けて捉えたのは若者を中心に作られつつある新しい文化だった。学問、芸術、文学、演劇、音楽、映像、そして人々のライフスタイルまで全てのジャンルで新しい定義が始まっていたのだった。

 

1970年代アメリカ

僕自身も1970年にサンフランシスコに留学したので写真の中の雰囲気に当時が思い出されて懐かしかった。

人種や宗教、カルチャーなど良くも悪くも全てが混ざり合いその融合から凄まじいパワーを生み出すアメリカ。

近年はトランプ政権の誕生でアメリカは二分されてしまったと言われるが壮大な面積を有するこの国は絶えず近年の世界をリードしてきた。

その始まりになる1970年代の空気感が閉じ込められた写真は美しく儚くリアルである。

写真のプリントや関連書籍も売っているので是非足を運んでいただきたい。

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アメリカ合衆国の側が風にたなびく。

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1970年代の空気感を感じるショット。風が気持ち良い。

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アメリカ人にとってアメリカ国旗は重要な意味を持つ。

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ギャラリー風景、初日のレセプションは大盛況だった。

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アメリカ大陸横断を記した書籍「Back On The Highway」