揺らぐからだ

淡い色彩

216日まで白金にある児玉画廊にて糸川ゆりえの個展「揺らぐからだ」が開催されている。淡い色彩が特徴的な絵画を描く作家は淡さの中に透明感や奥行き、輝きなど様々な要素を描きこむ。薄い絵の具を重ね塗ることで描くのは水辺の風景や輪郭のはっきりしない人物、家やボート、または夢の中の世界のような浮遊感のある世界だ。銀色やパール、ラメといった輝く素材を織り交ぜながら独自の世界観を作り出すのだが淡くても弱くはない印象的な色や自由に流れるような筆使いで描く対象などにどこか女性ならではの豊かな感受性を感じさせる。おそらくこういった個性あふれる絵は万人に好かれるというよりも一部に根強いファンができるタイプの絵なのではないかと思った。

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独特の色使いがとても美しい。ボートだろうか?浮いているようだ。

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重ね塗られた深い緑色の中にぼんやりと女性像が見える。

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森の中に佇む女性。夢の中の世界のような不思議な感覚だ。

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ボートに乗る女性像。水面の水の変化する表現が面白い。

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ぼんやりと家のようなものが見える風景。幻想的だ。

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裸婦像だが周りの透明に輝くような空気感が独特だ。

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炭だけでキャンバスに直接描いたような作品も動きがある。

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どこか夢の世界で浮遊するような女性像。色がいい感じである。

 

 

The Metamorphosis

ユニークな2人展

外苑前にあるギャラリーEUKARYOTEにて2月3日まで菅原玄奨と高橋直宏によるユニークな2人展「The Metamorphosis」が開催されている。菅原玄奨はFRPという珍しい素材で立体作品を形成して作品を作り上げるが、主観的な形をより洗練させて独自のフォルムを作り上げる。プラモデルのような量産品を連想させるマットなグレーの色合いも魅力的だ。一方の高橋直宏は木を素材とした木彫り彫刻を制作するがチェーンソーやドリルの跡などが荒々しく残された立体作品の強烈な存在感は素晴らしく、また、それらを繋ぎ合わせたり石膏と合わせたり彩色を施すことで作品全体に動きが感じられると思う。ともに若い作家だというがそれぞれ違った技法で表現する完成度の高い作品は対比させながら見るとさらに面白いと思う。

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菅原玄奨の作品はFRPというプラスチックのような素材で作られる。

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高橋直宏の木の彫刻は荒々しく彩色の動きがあって面白い。

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作品の表面はプラモデルのような薄いグレーで彩色されている。

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小さな木彫もとても繊細に作られていて魅力的だ。

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人物の主観的な部分を洗練させて極力ニュートラルにする。

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高橋直宏による作品。木材以外にも様々な素材を使うという。

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犬の細かな要素を全て排除して最小限のフォルムを探す。

NEW WAVE

70年代から80年代

アニエス・ベー青山店のB1ギャラリースペースで3月3日までフランス人のフォトジャーナリストPierre Ren-Worms(ピエール・レネーウォルムス)による写真展「NEW WAVE」が開催されている。70年代から80年代の前半に盛り上がったロックジャンルの「NEW WAVE」を撮影した40点余りの白黒写真の展示ではその後にレジェンドとなるロックスターたちがまだ駆け出しの初々しい姿で躍動している。U2やデボラ・ハリー、プリテンダーズ、セックスピストルズDEVO、トーキングヘッズ、B52’sなどなどなんとも懐かしい。展覧会期間中はアニエス・ベー青山店2階のアニエス・ベーギャラリーブティックにあるFeace Recordsとコラボレーションしたレコード店もB1に移動して「NEW WAVE」時代のレコードを売っているほか様々なグッズなども売っているので要チェックだ。

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1977年に撮影されたデボラ・ハリーの貴重な写真もある。

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NEW WAVE」時代の貴重なレコードジャケットも展示していた。

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B52'sとかThe ClashのLONDON CALLINGなど懐かしい!

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Feace Recordsとコラボレーションしたレコード店も登場。

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トートバッグやTシャツなんかのグッズの格好いいのでチェック!

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ギャラリーレセプションには沢山の「NEW WAVE」ファンが!

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DJブースでも「NEW WAVE」の曲をかけていた。

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アニエス・ベー青山店2階のアニエス・ベーギャラリーブティック。

旅行程、ノン?

コンセプチュアルなテーマ

六本木のギャラリーコンムレックスにある小山登美夫ギャラリーにて2月9日まで落合多武の個展「旅行程、ノン?」が開催されている。小山登美夫ギャラリーでは7年ぶり6度目のこの個展では新作のペインティングを展示している。落合多武はドローイング、ペインティング、立体、映像、パフォーマンス、本の制作、詩や文章の執筆など様々な表現方法を持つ作家である。今回は1年の12の月をペインティングにした12点の大きな作品を制作しているが描かれるのは多様な表現手段を持つ作家らしく絵画的な観点から描かれたというよりももっとコンセプチュアルなテーマを元に描かれているように思える。世界中の都市の名前とその都市のその月の休日、祝日が文字で描かれたペインティングは色や線の面白さ、構図の面白さなど絵画として成立しているのはもちろんだが起源には民族的な問題や宗教、戦争、人種問題など様々な世界の状況を連想させるというコンセプトも持ち合わせる。コンセプチュアルな点でユニークな着眼点と表現方法だが絵画作品としてもきちんと成立させているところが素晴らしいバランスとセンスだと感じた。

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色や文字の線の面白さなどコンセプトを見事な絵画作品にしている。

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青い色が鮮烈に感じられる中に文字や色調の変化が加わる。

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淡い色合いを塗った中に文字や目がある。目は移民を監視する目だ。

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コンセプトもさながら絵画作品としてすごくセンスがいいと思う。

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ギャラリー風景。絵の大きさは微妙に違うが全て大作である。

Park

見応えのある作品

六本木のギャラリーコンプレックスにあるタカ・イシイギャラリーにて2月16日まで村瀬恭子の個展「park」が開催されている。26年間暮らしたデュッセルドルフから2016年に帰国して現在は東京で制作活動をしているという作家が久しぶりに聞いた蝉の声や日本独自の木々の様子など体感した思いを作品に込めている。この作家さんの絵は非常に好きなので今回の個展も非常に興味深く見せてもらった。ドローイングもあるが大きめの作品もあって実に見応えのある作品に改めて類い稀な表現者としての作家の才能を感じた。光や水の揺らめき、風の動きなどを連想させる独特の画風はさらに輝いて見えた。繊細にして大胆な存在感を放つ絵画表現は自由な発想と豊かな感性によって生み出されるに違いない。風景に溶け込む人物の動きを見ているとまるで儚い幻を見ているような不思議な存在感を感じてしまう。

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風景に溶け込むように佇む人物。繊細な描写が素晴らしい。

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森の中をすり抜ける風のように動く人物は幻のようでもある。

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単色を使って非常に豊かな絵画世界を生み出しているのも凄い。

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同じような風景と人物を違う角度と色彩で描くのも面白い。

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草などの動き、森の木の動きも細かく描きこまれる。

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ドローイングはソールドアウトだったが紙がシワになる程描きこみをしていた。

Vice Versa-Les Tableaux

逆も真なり

六本木にあるギャラリーShugoArtsにて12月12日から22日まで小野祐治の個展「Vice Versa-Les Tableaux」が開催されている。逆も真なりと題されたこの展覧会は作家が1995年に着手し始めて以来撮影を重ねてきたタブローシリーズの最近の成果までを披露する12年ぶり(東京では14年ぶり)の個展となる。古典の名画を昔と同じように人工的な照明のない環境で時間をかけて撮影するという試みは絵画という手法の歴史を遡る試みでもあるという。光というものは写真の撮影にとって重要だが「可能な限り時間を遡り、当時の画家達と同じ条件に身を置いて撮影する」という徹底した試みによって撮影された名画達は全く違った表情と存在感を表しつつ写真という2次元に立ち現れる。静寂の中、時間という魔法によって現れる絵画と写真の表裏一体の絶妙な美しさは新しい発見のように思われる。

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フェルメールの名画「真珠の耳飾りの少女」が浮かび上がる。

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絵画の存在感が重厚な額縁の存在感と共に現れた作品。

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少女の姿が見て取れるが額と全てが一体の作品になっているようだ。

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燻し銀の塊のように重厚に存在する時間を経た絵画の姿。

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額縁の立体感の美しさも際立って見えるのが面白い。

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これはレンブラントの名画だろうか、静かに存在する感じだ。

夏の日

不思議な風景

渋谷ヒカリエ8階の小山登美夫ギャラリーにて桑原正彦の個展「夏の日」が開催されている。高度成長期の日本で育った作家は歪んだ闇が暗示されているかのような絵を描いていたが90年代後半からは社会よりもより自己の内面に眼差しを向けた作品が増えていったという。今回の展覧会は1997年から2001年の間に作家が描いたドローイングとペインティングを中心に展示するという面白い趣向の展覧会になっている。原っぱに横たわる豚やアザラシなど薄いタッチで描かれるのはなんとも不思議な風景だ。作家にとって20年近くも昔の己の作品と改めて向き合うというのは今の自分を見つめることにもなると思うが懐かしいような残酷なような試みと言えるのかもしれない。

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水辺に横たわるのは豚アザラシ?不思議な雰囲気の世界である。

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薄いタッチで描かれる作品には様々な生き物や物が散乱する。

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貝を食べるアザラシに蝶々がとまっているという摩訶不思議な風景。

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野原だろうか?野花や豚、虫が非常にゆるいタッチで描かれる。

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20年以上も過去に描いた作品でこの展覧会を構成している。