Chim Pomの道

キタコレビル

高円寺にあるキタコレビルにてチムポムのプロジェクト「Sukurappu ando Birudo プロジェクト 道が拓ける」が8月27日まで開催されている。キタコレビルという古い雑居ビルにチムポムが道を作りついに開通させたというこのプロジェクト、既存の空間にアートの手を加えることも多いチムポムの展覧会形式のイベントプロジェクトでもある。

 

プロジェクト完結編

2016年に新宿の歌舞伎町にある解体されるビルをアートにした「また明日も観てくれるかな?」に次ぐ形の今回のプロジェクトだが、その時最後にアートとともに解体された現場から持ち出したアートも今回のキタコレビルには展示されている。プロジェクトが終わった後はいずれ解体されるであろうキタコレビルはプロジェクトの後編、完結編といってもいい。キタコレビルには地下室もあり最後はマンホールから出てくる仕掛けになって入る。もう残り少ない会期だがまだ間に合うので観たい方は高円寺へ是非!

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マンホールから型をとったTシャツやエリの頭型貯金箱も売って入る。

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Chim PomのマンホールTシャツの型で魚拓のように使われる。

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色々なTシャツも売っています。価格はデザインによる。

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実際中にてネズミが飼育されている街を再現した作品。

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ネズミの剥製をピカチュウにした作品は新宿から持って来た。

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道の最後にあるマンホールから顔を出すチムポムのエリ。

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取り壊された渋谷パルコからPとCの部分が展示されている。

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高円寺にあるキタコレビル。この中にチムポムの道が出来上がった。

 

「見る」の分岐点

4年ぶりの個展

9月の16日まで白金にある児玉画廊で4年ぶりとなる中川トラヲの個展「Break Even Point」開催されている。児玉画廊は定期的にテーマ縛りのブループ展を開催していて中川トラヲも参加しているのでちょくちょく作品は見てきたが今回は個展とあって彼の作家としての新たな試みを十分に見ることができる。

 

損益分岐点

展覧会タイトルの「Break Even Point」は本来は「損益分岐点」という意味だがここでは作家の「見る」という行為を作品化してきたコンセプトを表している。つまりそれは「見る」という行為はなんなのかという普遍的な問いである。それは「見る」ことで得るものと失うものが等しくなる地点、見えると見えないの臨界点、または絵画と絵画でないものの分岐点なのかもしれない。今回は今までのベニヤにアクリルで描く抽象画ではなく、額に不規則にマウントの窓をくり抜きそこから絵が見える作品や、モデリングペーストを分厚く重ねた土台の裏に木枠をつけてそのモデリングペースト上にイメージを描くなど新たな表現方法も披露している。中川トラヲという才能豊かな作家の新作は注目である。

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分厚いジェッソというモデリングペーストの上に描く。

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額のマウントに不規則に開けられた窓から作品が見える仕掛けだ。

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色のセンスは抜群だと思うし線や形も面白い。

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石膏のようなジェッソの表面に施した絵の具は浸透した感じになる。

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重ねて塗られた色が新たな表面のテクスチャーを生み出す。

美しい逃避行

久々の個展

西麻布にあるCALM&PUNK GALLERYにてフォトグラファー田口まきさんの写真展が8月27日まで開催されている。「Beautiful Escape」と題されたソロエキシビションは田口まきさんにとっては久々の個展なのだそうだ。

以前にウェッブ誌で取材させてもらってから伊勢丹でのディスプレーのお仕事を頼んだり田口まきさんとは親交があるのだけど、写真展は初めて見させてもらった。以前から田口まきさんは女の子を撮るのが得意で女性同士だからというのもあるのかもしれないが飾らない女の子の姿を捉えるのがとてもうまい。

 

何かしたい、どこかに行きたい

展覧会のタイトル「Beautiful Escape」とは美しい逃避行とでも訳すのか、女の子がいつも抱いているこの「何かしたい、どこか行きたい」という欲望が田口まきさんは好きなのだという。10~15人ほどの女の子が集団で渋谷の街を走っていたり海辺を走っていたり、道路に寝転んだり、他にも様々な女の子の姿が鮮烈に捕らえられた写真は田口まきさんにしか撮れない独特の雰囲気の写真となっている。なんとなく見ていて懐かしいというか、甘酸っぱいというか、良い感じの写真たちだと思う。レセプションには沢山のきれいな女の子もいて田口まきさんワールド全開でした。

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カメラに向かって飾らない素の表情を見せる女の子達。

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女の子達の何かしたい、どこか行きたいが写真で表現された。

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朝の海辺を手を繋いで走る女の子達。全力疾走してる子もいる。

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女の子達だけで道路に寝転んだり、色々な表情を見せる。

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様々な場所で撮影された女の子達だが、合間の風景写真の挿入もうまい。

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オープニングレセプションには主役の女の子達も駆けつけた。

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レセプションにて記念撮影、風船を持ってるのが田口まきさん。

テーマは「平成」

写真の変化

恵比寿にある東京都写真美術館にて9月18日まで展覧会「コミュニケーションと孤独」が開催中だ。TOPコレクションは毎年1つのテーマで東京都写真美術館の34000点を超えるコレクションから作品をキュレーションして紹介しているが今年のテーマは「平成」である。メールやインターネットの普及、肖像権の侵害、個人情報保護など「平成」の時代になってから我々の周りを取り囲む環境は著しく変化を続けている。そんな時代背景の中で写真という表現手段も変化を迫られる中、「これからの時代の写真表現とは何か?」を探る展覧会となっている。

 

被写体との関係

写真という表現は作家と撮られる被写体との関係性の中で生まれるが関係性とは何らかのコミュニケーションだったり関わりということになる。昔のような単純な関係性だけの時代からあらゆる情報交換の手段が進化し続ける現代になって作家たちは何を撮影し、表現しようとしているのか、そして作家と被写体、作家と鑑賞者の関係性にはどういった変化が起きているのか。情報が錯綜し混沌とすればするほどコミュニケーションのあり方は無限に広がりその中で人は孤独を感じているのではないのか。現代が抱える新たな局面はすでにアート全体に大きな影響を与えていると思うがそんな今だからこそ興味深いテーマだと思う。同館では9月24日まで荒木経惟の展覧会「センチメンタルな旅1971-2017」も開催中なので合わせて是非ご覧いただきたい。

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同じ人や違う人を同じような服装で撮り続ける北島敬三の作品。

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同じ人を違った服装で定点観測的に撮ることで見えてくるもの。

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中村ハルコはイタリアのトスカーナの風景や人を撮り続ける。

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トスカーナの光に包まれた中庭のテーブルは美しい。

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林ナツミはまるで浮遊しているかのようなセルフポートレートを撮る。

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駅の改札など普段の生活で見慣れた景色の中を浮遊する姿。

リ・シンク展

レディー・ガガも注目

表参道ヒルズの「スペース オー」にて「館鼻則孝リ・シンク展」が8月20日まで開催されている。日本の伝統工芸の技術を巧みに取り入れて大胆で独特なアート作品を作る作家は花魁の履く高下駄をヒントに作った「ヒールレス・シューズ」がレディー・ガガに気に入られ世界的に注目を集めたことでも有名だ。

 

「見直す」という行為

今回はそんな作家の物つくりの法則とでもいうかクリエーションする時の「見直す」という行為を今まで作り出されたきた作品展示で紐解くという展覧会になっている。作家がアーティストとして、また日本人として何かを生み出すために自分のルーツを「見直す」ことをしたのは8年前、大学の卒業制作に遡る。幼少期の記憶や生まれた環境などの自分のルーツ、江戸や明治といった日本が西洋化し始めたに本人のルーツ、そういった様々なルーツの結果生まれたのが「ヒールレス・シューズ」だったのだそうだ。入場無料で会場ではTORAYA CAFEのスィーツも食べられるので涼みつつ館鼻則孝の熱いクリエーションの世界を見に出かけてはいかがだろうか。

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テーマごとに作られた会場ではまず大きな簪のオブジェが目に入る。

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花魁の高下駄をモデルにした作品と花魁の古い写真を展示。

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美しく輝くガラスのハイヒールは幻想的ですらある。

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江戸の文様のようなペインティングに高下駄の現代版シューズ。

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日本人のルーツをたどるように浮世絵の展示もある。

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カタカナでメッセージが刻印された大きな簪のオブジェ。

 

飛べ、こぶた

爆発するパワー

8月26日まで六本木のアートコンプレックスのShugoArtsにて近藤亜樹の展覧会「飛べ、こぶた」が開催中だ。激しい勢いを感じる絵画作品は力強く内なるエネルギーの爆発のようなパワーを感じる。聞けば30歳とまだ若い作家は内面に蓄積した様々な記憶や想い、感情などが限界に達した時に大量の作品を一気に描きまくるのだという。

 

絵画力

一見めちゃくちゃのようでいて絵が決して崩れることなく安定した力を放つというのはそう簡単なことではない。絵の基礎というか、絵画力がないとなかなか想いのままに自由にしかし崩れることなく絵画として成立する絵を描くことはできないと思う。感情の全てをそのまま画面に吐き出すような描き方は無邪気な子供の絵によくみられるが画家としてそれを行うには技術よりも才能が必要だと感じる。そういう意味でこの若手作家の作品は凄いと思うし更に今後の制作活動も楽しみだ。

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捻じ曲がったような姿だが不思議なバランスで絵画として成り立つ。

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人物や犬など独特の表現力で力強く、そして面白く描かれる。

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スプレーを使ったりアクリルを厚塗りしたりといった質感もすごい。

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画面からイメージがはみ出す躍動感とスピード感の迫力。

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土台に新聞紙も見える絵の色使いも独特だが筆の勢いも凄い。

写狂老人A

アラーキーの夏

この夏は「荒木経惟の夏」と呼んでも過言ではないほどである。新宿オペラシティー、東京都写真美術館、RAT HOLE GALLERYの3箇所で写真家荒木経惟の展覧会が開催しているからだ。先日RAT HOLE GALLERYの展覧会のことはお伝えしたが、今度は新宿オペラシティーにも行って来た。

 

撮り続ける

1960年代から活躍し続ける天才アラーキーだが展覧会「写狂老人A」では1960年代からの作品の数々がギャラリー内に大胆に展示されている。個人的には1964年の「八百屋のおじさん」という同じ八百屋のおじさんを撮り続けた作品がすごく好きだった。自らを写狂老人と呼ぶアラーキーも77歳を迎えたが歳を取っても撮り続けるエネルギーはますます加速しているようだ。

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いつもながら達筆で書かれた特徴的なのタイトル文字。

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楳図かずおさんと、天才同士通じ合うものがあるのだろう。

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ギャラリー内を大胆に仕切り展示された写真たち。

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とにかく、撮り続けるというすごさには圧倒される。