テーマは食

話題の中目黒高架下

10月9日まで中目黒の高架下にあるartless appointment galleryで開催している展覧会「#QOL collaboration with KINFOLK Japan」のレセプションに行って来た。蔦屋を始め沢山の飲食店や店がオープンして話題の中目黒の高架下だがartless appointment galleryもその一角にある。手前がコーヒーショップで奥がギャラリースペースのお洒落な店内だが今回はギャラリースペースでの展覧会となった。

食を分かち合う

KINFOLKといえば2011年に創刊された人気のライフスタイル誌で今や全世界100国以上で販売されているという。QOL(クオリティーオブライフ)をコンセプトに洗練されたデザインと美しい写真で豊かなライフスタイルを提案して来たKINFOLKだが秋号のテーマは「食を分かち合う」である。ギャラリーには人生における最もシンプルな楽しみの一つであるこのテーマに沿ってKINFOLKが表現する写真6点が展示販売されKINFOLKのバックナンバーも販売されている。それぞれがとても美しいプリント作品なのでKINFOLKの世界観を体験したい方は是非artless appointment galleryに足を運んでみてはいかがだろうか。

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食/ファッション/アートの融合がテーマの一つだ。

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美しいプリントだがよく見るとゴーヤや貝殻などの組み合わせ。

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KINFOLKらしい素敵な写真はエディション5で販売している。

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絶妙なバランスでスタイリングされた写真はお洒落だ。

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ギャラリーの真ん中にあるテーブルではKINFOLKも販売している。

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レセプションには沢山のKINFOLKファンが集まっていた。

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プリントはC printでサイズは750X1000mmと大きめだった。

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ギャラリーの手前にあるカウンターのあるコーヒーショップも人気。

アート満載のコンプレックス

合同レセプション

9月の2日に天王洲アイルにあるTERRADA Art Complexにてギャラリーの合同レセプションが行われた。3階にあるURANO、山本現代、Yuka Tsuruno Gallery、児玉画廊、そして5階にあるKOSAKU KANECHIKAとSCAI PARKにてそれぞれオープニングがあったがどのギャラリーもそれぞれに個性的な展示を見せていて大変に興味深い。天王洲アイルは少し遠いがこれだけまとまった量のアートを一挙に見れるので出かける価値はあると思う。

 

意欲的な新作の数々

3階にあるURANOでは独特の描き方が印象的な画家Toshiyuki KONISHIの新作展、児玉画廊では貴志真生也のインスタレーション作品展、Yuka Tsuruno Galleryではmamoruのビデオ作品、そして山本現代ではKosuke NAGATA、Ushio SHINOHARA、UJINO、Naohiro UKAWAのグループ展が開催された。また5階のKOSAKU KANECHIKAでは沖潤子と安野谷昌穂の2人展、SCAI PARKではギャラリーコレクションよりKohei NawaやKishio Suga、Toshikatsu Endo、Lee Ufanなどのそうそうたる顔ぶれの作品が展示されている。会期はギャラリーによって多少異なるので見に行く際には事前に確認していただきたい。

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Toshiyuki KONISHIの新作はますますパワーアップしていた。

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ギューちゃんことUshio SHINOHARAのパンチ炸裂ペインティング。

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貴志真生也のインスタレーションは不思議な儀式風景のようだ。

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沖潤子と安野谷昌穂の2人展は面白いマッチアップで展示もいい。

テクノガーデン

ペインティングと映像

9月1日から10月5日まで外苑前のMAHO KUBOTAギャラリーにてブライアン・アルフレッドの新作展「TECHNO GARDEN」が開催されている。ブルックリンを拠点に制作活動をするブライアンはアートを飾った新幹線「現美新幹線」内にアニメーション作品を設置したことで話題になった作家だ。今回の展示でもペインティングの他にアニメーション作品も展示していたがペインティングの世界が動く感じのアニメーション作品はとても面白かった。

 

日本好きな作家

ブライアンの作品はペインティングにおいてエドワード・ホッパーアレックス・カッツといったクラシックなスタイルのアメリカンペインターの流れを汲んでいる気がする。シンプルに表現される線と色の面の構成で作り上げる景色はどこか懐かしくアメリカのカルチャーの色を放っているような絵だと思う。一方、日本が大好きで毎年来日するという彼はアニメーション作品に日本の風景を登場させる。それは去年の半年間、浦安市に教師として滞在した時に見た浦安近辺の風景だが立ち並ぶ大きなビルや倉庫とその建物の中が一体どうなっているのかを妄想した景色だ。なぜかとても和む絵と日本の風景のアニメーションを是非見にいっていただきたい。

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日本の高速道路だというがどこかアメリカの風景っぽい。

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ちょっと抽象的な絵もあってなかなか興味深かった。

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斜めから日の当たるパーキングを線と色の面で見事に表す。

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上空から見下ろした住宅街の風景はのどかでアメリカっぽい。

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夏の午後の日差しか?スクリーンとヤシの葉のシルエット。

アートな鮨屋

「よしい」が移転

六本木でhiromi yoshiiギャラリーを運営するヨシイヒロミさんが東麻布に鮨屋をオープンしたのは2年ほど前のこと。真っ暗な店内に荒々しい木のカウンター、スポットライトに浮かび上がる現代アートが飾られた空間は異次元といった趣だった。その鮨屋「よしい」が六本木のhiromi yoshiiギャラリー1階に引っ越したと聞き早速伺った。

 

真っ暗は変わらず

今回も内装は谷尻誠氏、入口を入るといきなり暗いトンネルのような廊下があってそこを通って中へ入るという仕掛けだ。店内の壁は角を丸くしてあってその上に全て黒く塗装しているので今回のお店も真っ暗は変わらず、というかさらに暗くなったかもしれない。寿司屋で暗いというのは普通ありえないが吉井さんの遊び心は今回も徹底している。壁には杉本博司の写真が飾ってあり現代アートに囲まれて寿司を食べるというコンセプトも変わっていない。紹介制らしくどうやって予約するのかなどは分からないのでご了承ください。

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鮨屋とは思えないほど暗い店内。壁には杉本博司の水平線の作品。

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まず前菜が色々と出てくるが一品一品どれも芸術的な美しさ。

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黒田泰蔵の器を始めアートのような様々な器も厳選されている。

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握りはとにかく美味しいのはもちろん、見た目にも美しい。

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最後の方に出される鮪の握り。中トロで口の中で溶ける味わい。

陶芸と現代美術

村上X日比野

村上隆さんのギャラリー「カイカイキキ」で8月30日まで開催中の展覧会「陶芸↔︎現代美術の関係性ってどうなってんだろう?」で村上隆日比野克彦トークイベントが開催されたので観にいって来た。この展覧会は村上さんがバブル以降の生活工芸系の陶芸の収集をする中で現代陶芸を取り巻く環境に関して現代美術との絡みがあったのではとふと思ったことがきっかけで企画されたのだという。

 

もの派以降

近年再注目されている1970年代の「もの派」から2000年に村上さん自身が発明した「Superflat」の間の80年代90年代の日本にはどんな美術芸術運動があったのか。バブル経済に入った日本が西武セゾン系の文化事業など経済力に物言わせてバンバン走らせた数多くのムーブメント、そのバブル経済日本の中心で活躍したアーティストである日比野克彦氏を招いてこのテーマの核心を話すというのがトークの趣向だった。日比野さんとは80年代から友達でニューヨークでも色々と遊んだりしたし、日本を捨てて北米に進出した村上さんもその当時から知っているので僕個人としては懐かしくもありとても面白いトークだった。しかし、自分自身のデビューに知恵を絞って「Superflat」という発明を掲げた村上さんならではの時代の検証欲というか、分析欲のような熱意には恐れ入るばかりである。

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1980年代の日比野克彦氏のダンボールを素材に使ったアート。

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ギャラリーには陶芸品や80年第90年代のアートが展示された。

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陶芸品の数々と中原浩大の「髪」と題されたペインティング。

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こちらはやはり中原浩大の90年代の作品「アニス」

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沢山の人で埋め尽くされたトーク会場。左に日比野克彦氏、右に村上隆氏。

Chim Pomの道

キタコレビル

高円寺にあるキタコレビルにてチムポムのプロジェクト「Sukurappu ando Birudo プロジェクト 道が拓ける」が8月27日まで開催されている。キタコレビルという古い雑居ビルにチムポムが道を作りついに開通させたというこのプロジェクト、既存の空間にアートの手を加えることも多いチムポムの展覧会形式のイベントプロジェクトでもある。

 

プロジェクト完結編

2016年に新宿の歌舞伎町にある解体されるビルをアートにした「また明日も観てくれるかな?」に次ぐ形の今回のプロジェクトだが、その時最後にアートとともに解体された現場から持ち出したアートも今回のキタコレビルには展示されている。プロジェクトが終わった後はいずれ解体されるであろうキタコレビルはプロジェクトの後編、完結編といってもいい。キタコレビルには地下室もあり最後はマンホールから出てくる仕掛けになって入る。もう残り少ない会期だがまだ間に合うので観たい方は高円寺へ是非!

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マンホールから型をとったTシャツやエリの頭型貯金箱も売って入る。

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Chim PomのマンホールTシャツの型で魚拓のように使われる。

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色々なTシャツも売っています。価格はデザインによる。

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実際中にてネズミが飼育されている街を再現した作品。

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ネズミの剥製をピカチュウにした作品は新宿から持って来た。

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道の最後にあるマンホールから顔を出すチムポムのエリ。

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取り壊された渋谷パルコからPとCの部分が展示されている。

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高円寺にあるキタコレビル。この中にチムポムの道が出来上がった。

 

「見る」の分岐点

4年ぶりの個展

9月の16日まで白金にある児玉画廊で4年ぶりとなる中川トラヲの個展「Break Even Point」開催されている。児玉画廊は定期的にテーマ縛りのブループ展を開催していて中川トラヲも参加しているのでちょくちょく作品は見てきたが今回は個展とあって彼の作家としての新たな試みを十分に見ることができる。

 

損益分岐点

展覧会タイトルの「Break Even Point」は本来は「損益分岐点」という意味だがここでは作家の「見る」という行為を作品化してきたコンセプトを表している。つまりそれは「見る」という行為はなんなのかという普遍的な問いである。それは「見る」ことで得るものと失うものが等しくなる地点、見えると見えないの臨界点、または絵画と絵画でないものの分岐点なのかもしれない。今回は今までのベニヤにアクリルで描く抽象画ではなく、額に不規則にマウントの窓をくり抜きそこから絵が見える作品や、モデリングペーストを分厚く重ねた土台の裏に木枠をつけてそのモデリングペースト上にイメージを描くなど新たな表現方法も披露している。中川トラヲという才能豊かな作家の新作は注目である。

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分厚いジェッソというモデリングペーストの上に描く。

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額のマウントに不規則に開けられた窓から作品が見える仕掛けだ。

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色のセンスは抜群だと思うし線や形も面白い。

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石膏のようなジェッソの表面に施した絵の具は浸透した感じになる。

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重ねて塗られた色が新たな表面のテクスチャーを生み出す。