パリに到着!

まずはピカソ美術館

パリに到着してまず向かったのはピカソ美術館だ。去年に訪れた時はジャコメッティとのコラボ展のような企画展をしていたが今回はピカソのある時期に迫ってその期間に制作された女性の絵などにフォーカスしていて面白かった。数多くの女性と恋愛遍歴を持つピカソは企画のネタに困らない逸話を沢山持ったアーティストである。

 

デフォルメがいい

ピカソは僕が最も好きなアーティストだが彼の作品の中でもベニスのペギーグッゲンハイムで見た浜辺の裸婦シリーズが特に好きで極端にデフォルメされたモデルたちの姿に驚愕的な天才を感じるのである。ピカソ美術館にも浜辺の裸婦シリーズに匹敵するようなデフォルメされた人物像の絵が数多くあってとても良かった。絵が決して破綻することなくなんであんなふうに思い切りよく自由自在に形や色をデフォルメして表現できたのか。ものを見るということに関して驚異的に鋭く、そしてそれを心のままに創作物として表現できるピカソの才能は本当に素晴らしいと思った。

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ピカソ美術館の入り口。館内は改装を終えてとても綺麗になった。

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僕の好きな浜辺の裸婦のシリーズのような絵もあった。

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縁取りの茶色だけペイントして絵は描かないでおいた作品。

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激しくデフォルメされた対象者のこの圧倒的な存在感。

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ピカソは鉄や自転車のハンドルなど様々なものを使って彫刻を作った。

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強烈なインパクトのドローイングは彫刻のように重みがある。

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桃の時代の美しい絵や若き日の自画像も展示してあった。

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ピカソが愛し描き残した女性たちの絵は数多い。

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強烈な色彩とデフォルメの力が天才ピカソの真骨頂である。

脱力と直感

ニシジマ・アツシ展

12月20日まで渋谷ヒカリエの8/ART GALLERY TOMIO KOYAMA GALLERYにてニシジマ・アツシ展が開催されている。”Humor Identification 脱力と直感”と題されたこの展覧会はヒカリエでは初の個展となる。ニシジマ・アツシは音にまつわる多様な側面を探求、そこで得た事象をパフォーマンス、サウンド・インスタレーション、平面、立体作品を通して再表現するアーティストとのことだ。

 

ユーモアと識別

展覧会のタイトル、”Humor Identification 脱力と直感”が示すのは彼のようなコンセプチュアルな表現の根底にある概念の一つと言っていいと思う。「Humor Identification」を「脱力と直感」と訳したのかそれ全てでタイトルなのかはわからないが仮に「Humor Identification」を日本語に訳すなら「ユーモアと識別」というような意味になると思う。ジョン・ケージが提唱した「偶然性の音楽」の方法論を自らのパフォーマンスに取り入れたり日常とアートの境界を揺るがすような表現はフルクサスの実践した表現にも通ずるようである。いずれにせよ、アートが秘める様々な可能性の中で音と日常、音楽とノイズといったようなテーマに目を向けさせてくれる作家だと感じた。

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Turner Curtainという作品はビーズと棚という空間の把握を促す。

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音を可視化するような作品は非常にストイックな雰囲気だ。

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インスタレーションは装置であるとともに作品として美的側面も持つ。

フィレンツェ紀行3

ピッティー宮殿

フィレンツェメディチ家が統治した街として有名だが今は宝石屋が並ぶ2階建てのベッキオ橋の2階部分はその昔メディチ家の貴族たちが渡るために作られたのだそうだ。橋を渡った先にはピッティー宮殿がありそこは彼らの宮殿だったのだが今はその姿を残したまま美術館になっている。何しろ1泊の旅、歩き疲れはあるもののアカデミア美術館のダビデ像を見た僕はピッティー宮殿に向かった。

 

貴族達の暮らし

ピッティー宮殿の中は次から次に部屋が続いていて驚くほど広く窓から眺めるお庭も素晴らしい。壁画や天井画のない部屋などなく、沢山の絵画と彫刻で埋め尽くされた宮殿内はそのまま全て美術館である。家具などの調度品も素晴らしい細工が凝らされていて贅の限りを費やしたのが見て取れるが本当にこんなところで暮らしていたなんてすごいなあと驚くばかりだった。1泊旅行と短かったフィレンツェだったが様々な美術に触れられて大満足、さて、ベニスに戻ってパスタでも食べてから明日のパリ移動の準備をしようか。次回からはパリのお話をお届けします。

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ベッキオ橋は2階建で優雅な佇まい。

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宮殿入り口の巨大なシャンデリア。

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窓から見えるお庭もとても美しい。

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過剰な装飾と壁画がすごい天井だ。

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壁も絵画だらけ、これはルーベンス

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美しい彫像があちらこちらにある。

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こんなベッドに寝ていたとは驚きだ。

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トレニタリアでベニスに戻ることに。

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車内はイタリアらしく素敵なデザイン。

 

 

 

フィレンツェ紀行2

アカデミア美術館

ウッフィツィ美術館を後にしてアカデミア美術館「GALLERIA DELL’ACCADEMIA」に向かうことにした。お昼を食べてから途中に有名なサン・クローチェ教会や壮大なドゥオモ大聖堂などの建築物を見ながら到着した。着いてみると混雑もひと段落した様子で並ばずにすんなりと中へ入ることができた。テンペラで描かれた豪華な中世の宗教画や絵画を見ながら奥に進むとミケランジェロの未完成の彫像がいくつも並んでいる。そしてその奥にひときわ大きくそびえ立っているのがダビデ像だった。

 

見上げる美しさ

ミケランジェロは絵画やシスティーナ礼拝堂の壁画なども手掛けてはいるが本来は彫刻家であり建築家でもあったそうだ。彼の彫刻の才能はずば抜けていて大きな石の塊の中に完成時の彫刻を見出しそれを彫り起こすという制作方法で彫刻を制作したという。ダビデの手前に並ぶ未完成の彫像を見るとその意味が理解できるが、だんだんと削っていって形にするのではなく手前から奥へとまるで3Dプリンターのような感じで彫刻を彫り出せるとはすごい才能だ。肝心のダビデ像だが、堂々としていて力強く、しかし繊細で実に美しい彫像である。見上げる美しさを考慮して頭の大きさが少し大きめに作られていると聞いたがそれもすごい才能だ。アカデミア美術館には他にも石膏の彫像などが山のようにあって歴史的な街の凄さを実感した。

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ランチは地元のトラットリアへ。

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前菜にポモドーロパスタ、抜群!

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豚グリルと煮豆、すごく美味しかった。

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大聖堂ドゥオモは街のシンボル。

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アカデミア美術館には古い宗教画も多い。

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最初から完成系を彫り出しているのが分かる。

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そびえ立つダビデの像は凛々しい。

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沢山の石膏像が並ぶ部屋がある。

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美しくてとてもリアルな造形が多い。

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動き出しそうなほどリアルである。

フィレンツェ紀行1

ベニスから電車で

ベニスもひと段落してパリに移動する前にせっかくだからとフィレンツェへ1泊で行くことにした。ベニスから電車に乗って約2時間の旅はあっという間である。メディチ家の中世都市であるフィレンツェに来るのは約20年ぶりで街のお店などの印象は記憶とは違っていたが中世の教会や建物はそのままだった。ルネサンスが花開いた時代にはミケランジェロボッティチェッリなど数々の芸術家が活躍して素晴らしい芸術を残した街だ。

 

まずはウフィッツイへ

フィレンツェに来たら色々あるがまず見たいのは何と言ってもウフィッツイ美術館である。この美術館には名画がたくさんあるがボッティチェッリヴィーナスの誕生プリマベーラは特に有名で大好きな絵である。ミュージアムも改装が進んだようでこうした重要な絵は特別な白い壁面に埋め込まれるように展示されていた。ダヴィンチの「受胎告知」もそんな扱いの重要な絵だったがこれは本当に美しくそして科学者だったダヴィンチらしく非常にリアルに描かれていた。ミケランジェロの絵もあったが肉感が彫刻を思わせるような感じだった。さて、次はあのミケランジェロの傑作ダビデ像のあるアカデミア美術館に行きます!

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フィレンツェの中心にあるシニョーリ広場。

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中世から変わらぬ街にはいたるところに彫刻がある。

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ウフィッツイ美術館も改修工事がされていた。

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美術館の回廊は彫像と装飾で埋まっている。

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ボッティチェッリ作「ヴィーナスの誕生

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ボッティチェッリ作「プリマベーラ

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ダヴィンチの「受胎告知」非常にリアルに描かれている。

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ミケランジェロの幸福な家族の絵は彫刻みたいだ。

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最近修復を終えたダヴィンチの作品を見る人たち。

 

ふわふわの世界

2年ぶりの個展

六本木ヒルズのミュージアムショップに併設されたA/Dギャラリーにて長井朋子さんの展覧会が12月10日まで開催されている。2年ぶりとなるこの展覧会、「Thousands of Finches」は長井さん独特のふわふわのぬいぐるみと絵を組み合わせた作品世界で埋め尽くされている。

 

子供の記憶

長井さんの作品は沢山の古いぬいぐるみと少年や少女の肖像に鳥や猫などの小動物が混ざり合って一つの大きな作品世界を作り上げる。色使いも非常に個性的でどこかメルヘンチックだったりまたはほんの少し暗さがあったりと独特だ。可愛いだけではない何かがそこにはあるのだがそれは子供時代へのノスタルジイを感じる時に思い出す孤独感や寂しさみたいな感情なのかもしれない。作品もよく売れていて長井ワールドのファンが多いことをよく示していると思う。

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まるで人形で飾られた子供時代への神殿?のような大きな作品。

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古い額や手作りの額に作品を入れた展示も多い。

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女の子の上に積み上がるぬいぐるみやティーポットたち。

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かなり大きなペインティングもあったが独特の世界観がある。

ベネチアグラスの魅力

ムラノ島へと向かう

ベニスといえば有名なのがベネチアガラスで街のいたるところにあるおみやげ屋さんでは小さいアクセサリーから大きな壺みたいなもの、照明など様々なガラス製品を売っている。そんなベネチアガラスはベニスの隣にあるムラノ島に密集する工房で作られる。1500年という歴史を持つベネチアガラスだが技術の流失を恐れたベニス政府が全ての工房をムラノ島に集めたことでこの島がベネチアガラスの島となったのだそうだ。

 

ムラノ島の日本人

そんなムラノ島にベネチアガラスのデザイナーとして日本人で工房を構える作家の土田康彦さんと知り合う機会があり彼の工房やアトリエを訪ねてムラノ島に渡った。大きな工房では歴史が育んだ技術を様々にアレンジして毎日新しい商品を開発しているがその現場を見せてもらった。また、日本に向けて開発している意欲的な作品も見せてもらった。日本から遠く離れたベニスで活躍する日本人がいるとはなんとも誇らしい思いだ。

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ムラノ島へは船で約20分程度だ。

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和菓子のお皿に製作している新製品。

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アーティスティックなデザインの壺。

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工房の釜の火は365日絶やさないという。

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巨大なシャンデリアは圧巻。

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土田氏の素敵なデザインは人気だ。