「THE CLUB」

企画展「Defacement」

GINZA6の6階にある蔦屋書店の並びにあるギャラリー「THE CLUB」にて7月14日から8月31日まで開催されている企画展「Defacement」を見にいった。GINZA6がオープンした時からあるギャラリーだが今回行くのが初めてである。蔦屋が営むギャラリーだがギャラリーを任されたディレクターは若くしてロンドンのサザビーズにて現代アート部門の営業職を経験して今に至る経歴の山下さんという女性である。こういう若くて国際経験や欧米のアート界の経験がある人材がギャラリーを任されて運営しているというのは本当に素晴らしいいことだと思う。企画展「Defacement」の方だがウォーホル以外は全てまだ生きて活動している12人の現代アーティスト達の作品を通して「破壊」や「汚す」またはなにがしかの「介入」などの行為によって元々の価値に「新たな意味」や「あり方の上書き」がなされた作品に焦点を当てた見応えある企画展となっている。今後も面白い企画展を進行中とのことで銀座に現代アートに触れられる新たな場が増えたことはとても楽しみだ。

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ギャラリーの内観、手前のボックスは展覧会のために作られた作品。

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過去のアートや写真の上に違ったイメージを描き加えた作品。

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Brook Hsuの作品は34枚の連作だが1枚づつでも購入可能だ。

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Betty Tompkinsは過去の名画にフェミニストのメッセージを書き足す。

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Lucas Ajemianは他のアーティストからもらった作品を洗って再構築。

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右手にあるLeigh Ledareという作家の作品がなかなか気に入った。

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写真に絵の具のストロークを加えたGerhard Richterの作品もあった。

イメージのボディ

絵画のあり方を問い直す

白金の児玉画廊にて和田真由子の個展「余暇」8月18日から9月15日まで開催されている。イメージにボデイを与えるというコンセプトによって絵画のあり方を問い直すようなアプローチをしてきた作家は特に建物をモチーフにした作品が印象的だった。今回はそのアプローチは変わらないのだがまた違った観点から作家の制作意図を考察できるヒントになるような作品をあえて集めて展示したという。おにぎりやお寿司、サンドイッチやケーキなどの食べ物をモチーフにしたユーモラスな作品やクリアーなビニール紙をキャンバスのストレッチャーに貼ってその上に絵画の奥行きを感じさせるような表現を施した従来の作品の少し軽めなスタイルとサイズの作品が展示されている。時としてこうした佳作的な作品やユーモラスなアプローチの作品は作家の制作意図をより深く理解するためのヒントとなるのでとても興味深い展示となっていると思う。

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キャンバスのストレッチャーが透ける作品はビニール紙をビニール紙を使用している。

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ビニール紙の上にクリアーなモデリングペーストで絵を描き奥行きを感じさせる。

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柏餅だろうか、作家が制作の狭間で息抜き的にこういったユーモラスな作品を作る。

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ケーキだそうだがどことなく建造物の立体図ような考察的な視点が見て取れる。

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こちらはおにぎりだがここにも考察的視点というか分析するような視点がある。

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サンドウィッチもどことなく建物のような存在感でユーモラスに描かれる。

I AM HERE

三宅信太朗個人史

89日から910日まで渋谷のヒカリエにある小山登美夫ギャラリーで三宅信太朗個人史[2000-2018]が開催されている。「I AM HERE アイアムヒア 三宅信太朗作品集」の刊行記念として開催されるこの展覧会の他にもGINZA6にある蔦屋書店内のATRIUMでも8月7日から26日まで三宅信太朗の展覧会「果てしない夜景」が同時期開催されているのでこの夏は「三宅信太朗を見る夏」となっている。とにかく見たこともないような独特な世界観を持った作家という以外に説明しようのない三宅信太朗だがヒカリエの展示では「個人史」と題して2000年から2018年までの作品を抜粋して紹介しているのでデビューから今まで三宅信太朗が貫いてきた一種独特の作品世界をダイジェスト的に見ることができる。鉛筆や絵の具、木の板など様々なミックスメディアで生まれる不思議で可愛いキャラクター達が戯れる三宅ワールドはいつ見ても不思議で楽しくそして幸福な気持ちにしてくれる。

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気の板を切り抜いて着色して作られた無数のキャラクター達。

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無邪気でユーモラスな感じの絵には密かに毒も隠されている。

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デビュー当時から固執し続ける長い髪と胴体のキャラクター。

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鉛筆や色鉛筆、絵の具などを駆使して描かれる作品は素晴らしい表現力だ。

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蔦屋のATRIUMに現れた三宅信太朗ワールドは力作だ。

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自身も着ぐるみでのパフォーマンスやライブペインティングも行う。

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非常にセンスのいい、そして独特のセンスの作家だと思う。

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蔦屋では作品種以外にも三宅信太朗グッズを多数売っている。

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沢山のビルは全て作品で建物の内部まで作り込んであるものも多い。

 

全裸と布

力強く立ち上がる

市ヶ谷にあるMIZUMA ART GALLERYにて棚田康司の展覧会「全裸と布」が8月1日から9月1日まで開催されている。木塊から彫り出された裸婦像の数々は重力の中に力強く立ち上がると同時にその身体に宿る滑らかな曲線美は美しい。これまで少年少女といった題材を通して成熟と未熟、聖性と俗姓などの不安定な存在像を表現してきた棚田の作品は常に境界線にいることによって無限の広がりや可能性の領域を示してきたように思う。木塊という制約の中から見出された様々な裸婦像を通して表現された女性達は境界線に存在しながら世界へと無限の可能性を表しているかのようである。

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木の塊の中に彫刻家は女性像を見出し彫り起こしていく。

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沢山の木から彫り出された裸婦像が並ぶギャラリー内。

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木の像にはオイルや樹脂、スパンコールなどで装飾もしている。

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全裸と布の布部分はまるで本物の布のような表現力だ。

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重力に軽く抵抗するかのように斜めに佇む裸婦像。

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滑らかな体の曲線美、木の質感など見応え十分である。

CHIAKI

篠山紀信写真展

人気シリーズ「相棒」や「鬼平犯科帳」などに出演、「ベストボディ・ジャパン2013」にも選ばれた女優の平塚千瑛さんのヌード写真を篠山紀信さんが撮影した写真集「CHIAKI」の出版記念を兼ねて写真展が開催された。六本木のヒロミヨシイギャラリーでのレセプションには篠山紀信さんや平塚千瑛さんはもちろん、台風接近中にもかかわらず沢山の人が駆けつけた。篠山紀信さんは宮沢りえのヌード写真集や数々のヌード写真を撮影してきたが女優であれモデルであれ被写体の内面までも映し出すような鋭いヌード写真を撮ることで知られる。篠山紀信さんは「激写」という言葉が似合う写真家としてコマーシャルにもアーティスティックにも様々な写真を撮り続けてきたがまだまだ現役として精力的に活動を続けている。光と影の中に浮かび上がる艶かしい裸体の美を様々なシチュエーションと独自の視点で捉えるこの写真展は7月28日から8月18日まで開催中です。

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鋭い光と影の中に艶かしい裸体が浮かび上がる。

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なんでもないビルの階段に唐突に現れるヌード。

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ベストボディー・ジャパンの裸体が輝きつつ横たわる。

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光に浮かび上がる美しいヌード写真は必見だ。

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白い室内でおもむろにしかし自然にヌードを披露している。

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温泉宿などいくつかのロケーションで撮影は行われた。

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被写体の内面を表すかのような鋭いヌード写真だ。

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レセプションには篠山紀信さんや平塚千瑛さん他沢山の人が来た。

ヤマノカミサマ

倉科昌高個展

勝どきにある@btfにてカスタムペインターとして知られる倉科昌高氏の個展「ヤマノカミサマ」が7月28日から8月12日まで開催されている。以前から大ファンの倉科さんだが、今回はカスタムペイントではなく自らの幼少期の体験をインスピレーションとし約1年かけて制作した作品を展示する展覧会だ。長野の山間部で育ったという倉科さんにとって山や森は子供心の好奇心の源泉だったという。数メートル先でカモシカや猿の群れとの遭遇、ふと木々の奥の方に何か恐ろしい者がいるような気がして急いで自転車に跨った瞬間の安堵した思い出など山の存在は倉科さんの原風景そのものだ。日本は古来から八百万の神として自然や動物を信仰対象にした国だがその一方で山の動物たちを大切にして来たかというと絶滅させたニホンオオカミの例にもあるようにそこには疑問が残る。今回はそんな日本人にとっての山や自然という存在に思いを馳せながら作品制作をしたのだという。今はメジャーでなくなったエアブラシを駆使する倉科さんのテクニックの極め方も凄いし作品のインパクトも素晴らしいので絶対にオススメの展覧会です。

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森の中の一本道を横切る野生の動物。凄いテクニックだ。

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森の中には恐ろしいものが潜んでいる。ふと怖くなる瞬間。

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自然を崇める日本人だがその一方でニホンオオカミなどは絶滅した。

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約1年かけて制作したという毛皮模様は圧巻の出来栄えだった。

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カスタムペイントされた台座に乗っかるニホンオオカミの像。

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森の中、こちらをじっと見つめるニホンカモシカの影。

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レセプションパーティーには多くの倉科ファンが駆けつけた。

未分のレポート

現実との距離感

渋谷ヒカリエにある小山登美夫ギャラリーにて7月20日から8月5日まで国川広の個展「未分のレポート」が開催されている。新作の絵画やドローイングなど17点を展示しているが全て空間に佇むヌードの人物をぼんやりとした輪郭の曖昧なタッチで描いている不思議な作品だ。自分自身と現実との距離感を探るような試みを作品にしているというが独特の世界観はインパクトがあり一度見たら忘れない感じの作品だと思った。日頃の営みの中で「ものを見る時に見たものが見たままに見えることは案外少ない」とは作家の言葉だが目の前の見ているものに想像のようなものが重なって見えるような気がするのだという。見るものの中に潜む「楽しい」とか「暑い」「寒い」といった表現しがたい気配のようなものまでをも描きこむ実験的な作業がこの独特な絵画を生み出すのだ。薄くした絵の具を塗り重ねるようなぼんやりした輪郭の描き方や色使いの色彩感覚も実に独特で未知なる才能のようなものを感じる作家だと思った。

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油絵の具を薄く重ね塗りしつつぼんやりとした輪郭の絵を描く。

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裸で本を読む人?独特のタッチが印象的である。

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野外に腰掛ける裸婦像だろうか、色彩感覚も独特でいい。

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こちらもやはりヌードの人物だが目に見えないものを描く試みだ。

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室内にいてピアノを弾いたり横になったりしている人々。不思議な世界観だ。

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薄いグレーの暖色と寒色が絶妙なコントラストになっている。