aspect

溢れる色調

9月30日まで駒込にあるKAYOKOYUKIギャラリーにて高木大地の展覧会「aspect」が開催されている。鮮やかな色を駆使した絵画はカラーチャートのように鮮明でグリッドやパターンも変化に富んで面白い。溢れる色調を自在に操り色彩の持つ力を思う存分楽しんで描いているような絵だと思う。今回はギャラリースペースの裏手に併設された駒込倉庫のスペースも使って新作25点を展示しているがかなりのサイズになる大作も数点あって非常に野心的な展覧会となっている。この展覧会を最後にオランダのアムステルダムに勉強のため渡るというこの若い作家の今後にもさらに期待が持てる。

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油絵の具で描いているとは思えないような透明感が素晴らしい。

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色彩の組み合わせで発光するような不思議な相乗効果が生まれる。

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小さめの作品もしっかりと描かれていて立体感もある。

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この作品も独特な視覚的な効果を誘う構成となっている。

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グラデーションが画面に独特の動きを与えるようだ。

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色の使い方や形との組み合わせに独自のセンスを感じた。

Ken Kagami Retrospetive

加賀美健の回顧展

池袋PARCO本館7階にあるパルコミュージアムにて「Ken Kagami Retrospectiuve」が9月17日まで開催中だ。スヌーピーとチャーリーブラウンをパロディーしたドローイングを見ると見覚えがあるという人もいると思うが加賀美健は2000年代の始めより東京を拠点に活動する作家である。現代美術のアーティストなのだがそれだけにとどまらない面白さを秘めた作家で社会現象や時事ネタ、美術史で起こる問題、キッチュなカルチャーなど様々なテーマをジャンルを超えて網羅するアーティストだ。表現手法も立体、絵画、ドローイング映像、パフォーマンスと多岐にわたるので今回の回顧展で様々な表現手法の作品が一気に見れるのは貴重だと思う。オリジナルのグッズもすごく充実しているので是非おすすめな展覧会です。

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アートはジョークでありジョークはアートだという作品。

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キッチュなものアイコンなど様々なサブカルチャーを作品化する。

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セレブのカルチャーも彼が皮肉るテーマの一つである。

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このスヌーピーのソローイングを見覚えある人も多いのでは?

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立体やドローイングなど様々な表現手法を駆使する作家だ。

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B級アメリカンカルチャーと現代アートのフォンタナ作品を融合?

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おもわず笑ってしまいそうになる作品。マイク・ケリーを想わせる。

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「お金持ちだけが見ていい作品」という作品も面白かった。

記憶と歴史

途方も無い作業

天王洲アイルにあるSCAI PARKにて9月1日まで平野薫の展覧会が開催されている。ドレスやスニーカーなど生地を使って作られたモノの生地部分を糸にほぐし戻すという途方も無い作業で制作される作品は圧巻だ。数年前にSCAI THE BATHHOUSEギャラリーで初めてこの作家の作品を見た時にそれがそのような途方も無い作業の末に出来上がったのだとはにわかに信じ難かった。糸の状態までに生地をほぐされたドレスなどは数メートルもの長さになり天井から吊るされるがそれでもフロアーに裾の部分の糸が広がる。一見すると優雅な姿でもあるが一方でこれはモノという概念を解きほぐすようなコンセプチャルな挑戦だとも言える。ほぐした糸を丸めてボール状にしたりもするのだがとにかくどれだけの時間をかけてこうした作品は生まれるのか見当もつかない。今回、箱根のポーラ美術館アトリウムギャラリーでも平野薫の展覧会「記憶と歴史」が9月24日までの予定で開催されているので週末などに是非見に行こうと思っている。

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生地の部分は細い糸の状態にまでほぐされてドレスは新たな姿になる。

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ほぐされた糸がフワフワとしている。途方も無い作業だ。

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生地の部分をほぐされたスニーカーは新たな何かになる。

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糸状になるまでほぐされてしまったスニーカーの姿は斬新だ。

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下着などをきれいに糸状にほぐしてそれを丸めて球体を作る。

おしずかに、光有故

8月25日から10月6日まで天王洲アイルのTERRADA Art ComplexにあるKOUSAKU KANECHIKAギャラリーにて安野谷昌穂の個展「おしずかに、光有故」が開催されている。1991年生まれというまだ若い作家は京都精華大学でデザインを学んだ後にオランダのヘリット・リートフェルト・アカデミーでファインアートを学んだという。作家は世界に出なければいけないとは言わないができれば多様な表現や感性がある海外という環境で作家としての表現力を磨けたならばよりインターナショナルな作家へと成長できるのではないかと思う。そういう思いも抱きつつこの作家の作品を見渡すと様々な作品や作家の影響を受けながらも自分の感性を探り出すように描く表現力に確固たる個性を感じた。パネルに和紙を張ったコラージュやドローイングには作家が感じた独自の感覚や直感、衝動や疑問などの様々な要因が作品として吐き出されているような面白さがある。インスピレーションの赴くままに描くような作品はまず「描きたい確固たる思い」がないと破綻するか支離滅裂になって作品の源泉にあるはずの作家の意図が伝わらなくなるがこの作家はしっかりとした思いを持って描いているのが見て取れた。

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パネルに和紙を張ったコラージュ作品。青色が美しい。

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ドロドロしたようなモチーフが彷徨う作品だがパステル調の色がいい。

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ギャラリー内には作品の他に壁面にも絵が描かれていた。

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赴くままに描くというのは実はそう簡単ではなく難しい。

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ドローイングは作家の感性の中での必然性が現れるので繊細だ。

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力強く、とても面白い人物を描いたドローイングだと思う。

「THE CLUB」

企画展「Defacement」

GINZA6の6階にある蔦屋書店の並びにあるギャラリー「THE CLUB」にて7月14日から8月31日まで開催されている企画展「Defacement」を見にいった。GINZA6がオープンした時からあるギャラリーだが今回行くのが初めてである。蔦屋が営むギャラリーだがギャラリーを任されたディレクターは若くしてロンドンのサザビーズにて現代アート部門の営業職を経験して今に至る経歴の山下さんという女性である。こういう若くて国際経験や欧米のアート界の経験がある人材がギャラリーを任されて運営しているというのは本当に素晴らしいいことだと思う。企画展「Defacement」の方だがウォーホル以外は全てまだ生きて活動している12人の現代アーティスト達の作品を通して「破壊」や「汚す」またはなにがしかの「介入」などの行為によって元々の価値に「新たな意味」や「あり方の上書き」がなされた作品に焦点を当てた見応えある企画展となっている。今後も面白い企画展を進行中とのことで銀座に現代アートに触れられる新たな場が増えたことはとても楽しみだ。

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ギャラリーの内観、手前のボックスは展覧会のために作られた作品。

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過去のアートや写真の上に違ったイメージを描き加えた作品。

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Brook Hsuの作品は34枚の連作だが1枚づつでも購入可能だ。

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Betty Tompkinsは過去の名画にフェミニストのメッセージを書き足す。

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Lucas Ajemianは他のアーティストからもらった作品を洗って再構築。

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右手にあるLeigh Ledareという作家の作品がなかなか気に入った。

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写真に絵の具のストロークを加えたGerhard Richterの作品もあった。

イメージのボディ

絵画のあり方を問い直す

白金の児玉画廊にて和田真由子の個展「余暇」8月18日から9月15日まで開催されている。イメージにボデイを与えるというコンセプトによって絵画のあり方を問い直すようなアプローチをしてきた作家は特に建物をモチーフにした作品が印象的だった。今回はそのアプローチは変わらないのだがまた違った観点から作家の制作意図を考察できるヒントになるような作品をあえて集めて展示したという。おにぎりやお寿司、サンドイッチやケーキなどの食べ物をモチーフにしたユーモラスな作品やクリアーなビニール紙をキャンバスのストレッチャーに貼ってその上に絵画の奥行きを感じさせるような表現を施した従来の作品の少し軽めなスタイルとサイズの作品が展示されている。時としてこうした佳作的な作品やユーモラスなアプローチの作品は作家の制作意図をより深く理解するためのヒントとなるのでとても興味深い展示となっていると思う。

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キャンバスのストレッチャーが透ける作品はビニール紙をビニール紙を使用している。

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ビニール紙の上にクリアーなモデリングペーストで絵を描き奥行きを感じさせる。

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柏餅だろうか、作家が制作の狭間で息抜き的にこういったユーモラスな作品を作る。

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ケーキだそうだがどことなく建造物の立体図ような考察的な視点が見て取れる。

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こちらはおにぎりだがここにも考察的視点というか分析するような視点がある。

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サンドウィッチもどことなく建物のような存在感でユーモラスに描かれる。

I AM HERE

三宅信太朗個人史

89日から910日まで渋谷のヒカリエにある小山登美夫ギャラリーで三宅信太朗個人史[2000-2018]が開催されている。「I AM HERE アイアムヒア 三宅信太朗作品集」の刊行記念として開催されるこの展覧会の他にもGINZA6にある蔦屋書店内のATRIUMでも8月7日から26日まで三宅信太朗の展覧会「果てしない夜景」が同時期開催されているのでこの夏は「三宅信太朗を見る夏」となっている。とにかく見たこともないような独特な世界観を持った作家という以外に説明しようのない三宅信太朗だがヒカリエの展示では「個人史」と題して2000年から2018年までの作品を抜粋して紹介しているのでデビューから今まで三宅信太朗が貫いてきた一種独特の作品世界をダイジェスト的に見ることができる。鉛筆や絵の具、木の板など様々なミックスメディアで生まれる不思議で可愛いキャラクター達が戯れる三宅ワールドはいつ見ても不思議で楽しくそして幸福な気持ちにしてくれる。

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気の板を切り抜いて着色して作られた無数のキャラクター達。

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無邪気でユーモラスな感じの絵には密かに毒も隠されている。

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デビュー当時から固執し続ける長い髪と胴体のキャラクター。

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鉛筆や色鉛筆、絵の具などを駆使して描かれる作品は素晴らしい表現力だ。

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蔦屋のATRIUMに現れた三宅信太朗ワールドは力作だ。

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自身も着ぐるみでのパフォーマンスやライブペインティングも行う。

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非常にセンスのいい、そして独特のセンスの作家だと思う。

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蔦屋では作品種以外にも三宅信太朗グッズを多数売っている。

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沢山のビルは全て作品で建物の内部まで作り込んであるものも多い。