NYアートリポートVol.22

Tim Rollins & K.O.S.

香港やソウルにもあるギャラリーLEHMANN MAUPINのニューヨークではTim Rollins & K.O.S.の展示をしていた。最初にTim Rollins & K.O.S.を見たのはまだニューヨークに暮らしていた1980年代のことだったが作品は衝撃的だったのを覚えている。サウスブロンクスの美術の教師だったTim Rollinsが自身のクラスの生徒達と共に放課後のプログラムとして立ち上げたアート制作プロジェクトだと知って更に大きな驚きを感じた。Tim Rollins & K.O.S.K.O.S.とはKids Of Suvivalの頭文字をとった言葉であり先生と生徒のプロジェクトが本格的なギャラリーで取り上げられて展覧会まで開かれ話題になたことも驚きだった。作品はシェイクスピアマーク・トゥエイン、マーティンルーサーキング牧師マルコムXの書簡などのページの上に描かれているのだが強い想像力を感じるた。2017年にこの世を去ったTim Rollins の功績を記念すべく開かれたという追悼展をたまたま見ることができて思い出深い作品を再び観れたのはとても感慨深いものだった。

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当時、衝撃的な印象だったTim Rollins & K.O.S.の作品。

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学校の先生と生徒の放課後プロジェクトとは信じ難かった。

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作品の発想や完成度、迫力が見るものに訴えかける。

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有名な小説などのページをパネルに貼ってその上に描く。

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素晴らしい作品のユニークさと力強さだと思った。

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こんなユーモラスでちょっと怖い作品もあった。

NYアートリポートVol.21

LISSON GALLERY

ロンドンのギャラリーであるLISSON GALLERYは現在ではニューヨークにふたつ、上海にひとつギャラリーを展開している世界的なギャラリーだ。1960年代から続く歴史の長いギャラリーでもあり抱える作家も世界中に60人以上いる。最初の頃はカール・アンドレやドナルド・ジャッドなどミニマルやコンセプチュアルなアーティストを多く扱っていたが近年はトニー・クレッグやアニシュ・カプーア、ジュリアン.オピーなどのイギリス作家も多く扱い始めた。またアイ・ウェイ・ウェイや宮島達男など世界中に多くの作家を抱えている。今回はつい最近取り扱いを始めたというアメリカの作家ショーン・スカリーの初めての個展を二つのギャラリーで同時開催していたがとても見応えがあった。チェルシーのギャラリー巡りでは見逃せないギャラリーの一つである。

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重厚感のある鉄のスカルプチュアである。大きい!

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ギャラリースペースは非常に広くて大きな絵もゆったり見れる。

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色の組み合わせや塗り方など微妙な変化を描いている。

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簡単に描いているようでいて実はとても複雑な絵だと思う。

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ふたつ目のギャラリーは小さめで具象なペインティングを展示。

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雑に色を塗っているようでいて印象が雑にならないところが凄い。

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非常に実験的で考察的な印象を受ける絵画作品たちだ。

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絵画作品とともにギャラリー中央には鉄のスカルプチュアがある。

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雑さ加減が実に絶妙で面白い絵になっていると思う作品である。

NYアートリポートVol.20

Frank Stella

MARIANNE BOESKYギャラリーではフランク・ステラの大きな新作スカルプチュアを展示していた。最も大きいものはギャラリーの天井に届くほどもあってどうやって運び入れたのかと思うほどのスケール感である。ステラといえば1970年代から常に抽象表現に取り組んで来た大御所だが半世紀たった今でもその表現力は衰えるどころかますますパワーアップしているかのようだ。複雑に絡み合う色と形の立体作品によって抽象表現と幾何学的表現の関係性を問い続けるステラは日本にもファンの多い作家である。何れにせよ大御所と呼ばれるようなベテラン作家も意欲的な新作を発表し続けているのは凄いことだ。

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複雑に絡み合う形と色は立体的な表現世界を表している。

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スカルプチュアと呼ぶべきか立体的な絵画と呼ぶべきか。

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様々な素材を組み合わせて求める表現世界を獲得する。

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こちらは小さい立体作品だが非常に実験的な魅力があると思う。

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今回一番大きかった作品はギャラリーの天井に届きそうだ。

NYアートリポートVol.19

二つのギャラリー

ソーホー地区からチェルシー地区にギャラリー街が移動した最初の頃からMETRO PICTURESLUHRING AUGUSTINEの二つのギャラリーは24丁目にあって必ずチェックするギャラリーとなっている。この二つのギャラリーは個性的な作家を多く抱えていて毎回どんな展覧会を開催しているかとても楽しみなのだ。今回はMETRO PICTURESではベテランのアーティストROBERT LONGOによるモニュメンタルな銃弾でできた球体とこの作家が得意とする巨大なドローイングを展示していたしLUHRING AUGUSTINEではSANYA KANTAROVSKYという初めて聞く作家の新作ペィンティングを展示していた。いつもアッと驚くような展示を見せてくれるこの二つのギャラリーは何よりも作家の個性を大事にしているような気がする。

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ギャラリーに吊るされた巨大な球体はモニュメンタルな感じだ。

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球体を近くで見ると無数の銃弾で出来ていて銃社会への訴えか。

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ドラマチックなホワイトハウスのドローイングが写実的に描かれている。

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人間の足を持って歩く人物は不気味だがユーモラスでもある。

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初めて聞く作家だったが色使いなどがとても個性的だった。

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どこか詩的な感じもするし物語の一場面ような雰囲気もある絵だ。

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悲劇的な感じを受ける男女の姿が独特のタッチで描かれている。

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この絵もかなり不気味だが架空の人物を描いているという。

 

NYアートリポートVol.18

MATTHEW MARKS GALLERY

チェルシー地区のギャラリー街にあるマシュー・マークス・ギャラリーは僕の好きな作家を多く抱えるギャラリーの一つだ。ミニマルアートのエルスワース・ケリーやポップアートの巨匠ジャスパー・ジョーンズ、イギリスの作家のゲイリー・ヒューム、色使いが素晴らしいテリー・ウィンターズなどいずれも人気の作家ばかりだ。今回の展示はRON NAGLEという聞いたことのない作家だったが作品はポケットサイズのスカルプチュアと呼ぶ通り非常にサイズの小さいスカルプチュアだがその完成度や見飽きない面白い色や形は素晴らしかった。マシューさんはきっとギャラリストとしてかなりセンスのいい目利きであると思う。

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サイズは小さいがアートとしてのパワーは十分だ。

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非常に丁寧に作られていて完成度は驚くほど高い。

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置くところには困らないしこれは売れるなあと思った。

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見るものによって感じるものが違うのがアートの面白さだ。

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しかし見れば見るほど不思議なシカルプチュアである。

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展示の方法もとてもお洒落で良かった。センスがいいのだ。

荒木経惟と大宮エリー

complex665にて開催中!

NYアートリポートはまだ続くのだがここで6月15日まで六本木で開催されている二つの展覧会について書こうと思う。荒木経惟大宮エリーの展覧会が六本木のcomplex665にあるTaka Ishii Galleryと小山登美夫ギャラリーでそれぞれ開催されている。荒木経惟といえば天才アラーキー大宮エリーは多才なクリエイターといった感じだろうか。荒木経惟に関してはもう細かい説明はいらないと思うがとにかく写真という表現で己の生き様を取り続けているアーティストだ。大宮エリーはもともと広告代理店にいたがその後物書きとして独立し舞台の作と演出やドラマや映画の監督、映像制作、ラジオのパーソナリティーと実に多才だ。絵の方もかなり独創的で心の中を思うがままに自由に描き出すような作品は力強い。お互いに個性も表現も異なる二人の作家の作品を是非見にいって欲しいと思う。

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毎回展覧会のタイトルは荒木経惟自身の手書きによる。

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古びた人形、空、ベランダなど同じモチーフを取り続ける。

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今回の展覧会では中判フィルムで撮影した新作約90点が展示された。

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荒んだ風景や様々な壊れたものが無言で写されている。

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色にとてもインパクトとのある絵が多い大宮エリーの作品。

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花の絵もかなり爆発的な勢いで描かれたのがわかる。

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独特の色彩感覚は感情の現れであ流ように思える。

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今回の展覧会の主題の一つが感銘を受けた瀬戸内の風景だ。

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なんだかほのぼのするというかハッピーな気持ちになる絵だ。

NYアートリポートVol.17

PACE GALLERY

世界的なビッグギャラリーといえば忘れてはならないのはPACE GALLERYだ。ニューヨークはもちろんロンドンやソウル、香港、ジュネーブ、そしてIT産業のメッカであるカリフォルニアのパロアルトにもギャラリーを持っている。今回もTony Smithの巨大な鉄のスカルプチャーを展示していたが一体どうやって運び込んだのかと思うほどの大きさと迫力だった。アートマーケットの小さな日本ではこんな巨大アートの展示をするギャラリーなどないしそういう規模の作品を作家が作れるような土壌もないと思う。欧米のアートマーケットの規模の大きさとそれをベースに台頭するギャラリーの資金力、作家の力やスケールのでかさにはいつも驚かされるばかりだ。

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Tony Smithの巨大な鉄のスカルプチャーが並ぶギャラリー。

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こんな作品を作れる、または作ろうと思えるのが凄いことだ。

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黒いフォルムが実に美しく雄大なスケール感を感じる作品だ。

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シャープな鉄のスカルプチャーは屋外などに置くのだろうか。

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奥に写っている人の大きさと比べるといかに巨大な作品かが分かる。